建築物の内部の調査項目[特定建築物調査]

特定建築物(特殊建築物)調査での、「4.建築物の内部」の項目について説明します。なお、特定建築物調査での調査項目・判定基準等は国土交通省告示第703号にて定められています。

防火区画

建築基準法施行令112条では防火区画と呼ばれる規定が定められています。防火区画は、建築物を「面積ごと」や「縦の空間ごと」、または「用途ごと」によって区切ることによって、火災時に煙や炎が一気に広がることを防ぎ、利用者が避難する最低限の時間を稼ぐことを目的としています。それらの防火区画が適法状態かを図面を元に確認し、問題がある場合は指摘事項となります。また防火区画は炎が燃え広がることを防ぐために区切るわけですから、防火区画の壁や開口部の戸に、耐火性能を欠くような劣化や損傷・不具合がないかを目視で確認します。

壁全般

木造、レンガ造り、コンクリートブロック造、鉄骨、鉄筋コンクリート造、鉄筋鉄骨コンクリート造など、すべての構造において、それぞれ躯体部分に著しい劣化や損傷・腐食などがないか、内部からも目視で確認します。

耐火構造の壁

建築基準法施行令112条で定められている、防火区画での耐火構造の壁の基準に適合しているか、図面から確認します。またそれらの防火区画で十分に耐火性能が発揮されるように、壁や鉄骨の被覆、配管等で壁を貫通している部分の結合部の状態を目視等で確認します。

界壁・間仕切壁・隔壁

建築基準法施行令114条で定められる界壁・間仕切壁・隔壁に関する規定について、確認申請を行わなかった小規模なリフォーム等で、建築物の状態が変わっている場合、適法状態であるか目視等で確認します。

床全般

木造、鉄骨、鉄筋コンクリート造、鉄筋鉄骨コンクリート造などの構造において、それぞれ躯体床部分に著しい劣化や損傷・腐食などがないか、目視で確認します。

耐火構造の床

建築基準法施行令112条で定められている、防火区画での耐火構造の床の基準に適合しているか、図面から確認します。またそれらの防火区画で十分に耐火性能が発揮されるように、床や鉄骨の被覆、配管等で床を貫通している部分の結合部の状態を目視等で確認します。

天井・特定天井

平成26年に改正された建築基準法では「特定天井」と呼ばれる吊り天井は、脱落・落下対策が必要となりました。特定建築物調査の「4.建物の内部」において、「特定天井」の調査を行います。

防火扉・防火シャッター等の防火設備

建築基準法施行令112条で定められている、防火区画の規定で必要な防火設備が適切に設置されているか図面と目視で確認します。

常時閉鎖した防火扉については、閉鎖の作動が適切かどうかを閉鎖時間の測定等や目視によって確認し、劣化や損傷がないか、また閉鎖動作が障害される状態にないかを確認します。

※2016年6月1日施行の建築基準法改正により、建築基準法12条の定める定期報告に新たに防火設備検査が加わりました。

照明器具・懸垂物

建築物に取り付けられている照明器具が落下する恐れのあるような劣化・錆・腐食・損傷などがないか目視で確認します。懸垂物とは天井などから吊り下げられている照明等を指しますが、これらも同様に落下する危険性を調査します。

また照明器具が防火設備の閉鎖動作の障害となっていないかも確認します。

採光・換気

建築基準法28条と建築基準法施行令19条では、居室の採光に関する規定が定められています。その採光が十分に確保できているか、図面等から確認します。

また建築基準法28条と建築基準法施行令20条では換気に関する規定も定められています。それらの換気の基準を満たすための換気設備について図面で確認すると共に、正しく動作しているか目視等によって確認します(3年以内の建築設備検査の結果で確認可能)。

採光・換気ともにそれらを遮るような障害物がある場合は、指摘事項となります。

アスベスト資材の使用状況

国土交通省告示第1172号で「吹付け石綿及び石綿含有吹付けロックウール」つまりアスベストの含有率が高く、飛散しやすい資材の新規の使用が禁止されました。既に使用されている建築物の場合、アスベスト資材の状況を確認し、劣化状態によってはさらに細かい調査・分析が必要になります。 またアスベスト資材をもつ建築物が改築・増築等を行った場合、アスベスト資材の除去もしくは封じ込める措置が必要になったことから、それらの措置が行われているか確認します。

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