建築定期報告手続きの流れ

1. 定期報告に該当するか確認

定期報告を促す案内状が行政等から届く場合もありますが、まず所有するもしくは管理する建築物が定期報告の対象建築物に該当するか確認する必要があります。案内が届かないからといって報告義務がないということではありません。建築物の所管する特定行政庁の建築指導課に直接問い合わせるか、もしくは建築定期報告業務を行う設計事務所・設備会社・管理会社等に問い合わせ、定期報告の概要を調査してもらうなどの方法もあります。

各都道府県によって細則が制定されていて、定期報告の対象建築物の条件が非常に複雑であったりすることもあるため、安易に決めつけてしまうことは危険です。

2. 定期報告時期の把握

行政によって定期報告時期のルールは異なります。定期報告の期限を過ぎても未提出の場合は督促状が届くこともあります。 定期報告は、現場調査から定期報告の作成、所有者の捺印、提出というように、提出までに時間がかかる手続きですから、定期報告の期限ぎりぎりに調査をすることはあまり懸命とはいえません。例えば定期報告期限の数ヶ月〜半年前から日程の調整などを開始すると、バッファが生まれ万が一の事が起きても対応する余裕が生まれます。 ただし督促状が届いているならば、否応がなしに早急に対応して下さい。

3. 定期報告調査者の選定

法律で定期報告調査資格が定められているため、その資格者に調査を委託する必要があります。調査者としていろいろな企業があります。 一番多いのがビル管理会社等です。建物全体のビル管理パッケージの一部として、定期報告を含んでいることもあります。また設備工事等を行う会社が建築定期報告も受託するケースもあります。 おすすめなのは定期報告業務の経験が豊かな建築士事務所に委託するケースです。建築士事務所は一般的な建築業務に従事する現役の一級建築士が調査するため、講習のみで取得した調査資格者よりも建築基準法への理解も深く、建築に対する知見に富むため、定期報告の調査内容以外の相談にも乗ってもらえることがあります。

4. 発注後

調査者を選定したならば、建築物の図面や、もし可能ならば以前の定期報告書類を送付するとスムーズに調査が進みます。とくに図面は必須ともいえます。場合によっては建築確認申請の書類のコピー等が必要になることもあります。 またその建物の所有者・管理者の正しい名称・所在地・連絡先を通知する必要もあります。

5. 調査当日

調査当日は、建築物の種類・調査内容にもよりますが、いろいろなところに調査者が立ち入ることがありますので、関係者には事前に調査日を周知することが重要です。 是正の指摘のあった部分は改善予定を決め、確実に実行しましょう。

6. 定期報告書作成

調査者は定期報告書を作成し特定行政庁への提出を行います。報告書には所有者(または管理者)・調査者の押印が必要でしたが、行政の規制改革による令和3年施行の国土交通省令改定で、押印が不要となります。副本等の関係書類の返却はかなり遅れることもありますが、報告書を提出したタイミングで報告業務はあらかた完了となります。ただし、提出書類に不備があり、特定行政庁担当者から問い合わせや確認・訂正作業が発生した場合、特定行政庁の受付完了は大きく遅れることがあります。

7. 報告書等の返却

返却された書類や、定期報告が済んだことを示すステッカー(配布されないこともある)が届きますので、適切に管理して下さい。

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