定期報告のコスト
建築定期報告の費用は、建築物の規模・用途・所在地など多くの条件が関係してきますので、一概に目安を決めることは難しいと思われます。一部の検査会社では延床面積だけで料金体系を提示しているケースも見受けられますが、かなり多種に渡る建築物の検査をそのように単純化できるものか疑問が残ります。
安すぎる見積りには注意
相見積もりなどを取って比較したとき、あまりに安すぎる見積りには注意が必要です。定期報告は、現場の調査から定期報告書の作成・提出・提出にかかる手数料など、コストの圧縮には限界がある業務なため、あまりに安すぎる予算で行き届いた定期報告業務が可能なのか不安が残る場合があります。
中には現場の調査なしに(前回の報告書を丸写しするなど)定期報告書類のみを作り上げて提出するなどの非常に悪質なケースもあります(2016年6月以降の建築基準法改正により、悪質な調査者への処分が可能となりました。)
下請けに発注するだけの非専門会社
建物管理サービスを総合パッケージ化して提供する企業も多くありますし、そのような総合サービスには大きなメリットもありますので、元請け・下請けのモデルの是非を議論することは差し控えますが、あからさまに利益を抜いているだけの非専門企業の場合、担当者が非技術者・非専門職で、定期報告に関する相談への回答がすぐに得られないなどの特徴があります。
調査者は建築士がベストな選択か
やはり定期報告業務には慣れ・不慣れが当然存在します。ですから定期報告業務をすべて可能な調査資格者である建築士だからといって、それが必ずしもベストな選択とは限りません。普段定期報告業務にほとんど従事していない建築士ですと、スピード感やコスト感(慣れていない分、予算に余裕を持たせる等)、また建築物の得意分野等で若干不利な場合もあります。長年経験を積んできた講習検査資格者が、手際もよく安心感のある調査・報告を行っているケースも多いのです。
ただし、定期報告の根拠となっている建築基準法に対する理解や、特定行政庁の建築指導課等とのやり取りに慣れているのは、明らかに建築士です。