特定建築物(特殊建築物)調査での、「1.敷地及び地盤」の項目について説明します。なお、特定建築物調査での調査項目・判定基準等は国土交通省告示第703号にて定められています。
地盤
地盤沈下が起きていないか、地盤沈下によるでこぼこや、傾斜が生じていないか目視によって確認します。そのようなでこぼこや傾斜によって著しく安全性が損なわれている場合、指摘事項となります。
敷地の排水状況
建築基準法19条では、敷地内の雨水や汚水は下水管や下水溝・ためます等に適切に排出し、安全性・衛生を保つべきであることを定めています。詰まりやその他の不具合によって敷地内の排水処理が正しく行われておらず、衛生上問題がある場合、指摘事項となります。
敷地の通路
建築基準法施行令第128条で、避難階段や出口から道路などに通じる通路が1.5m以上の幅で適切に確保されることを定めています。この通路が確保されていない、1.5mの幅が満たされていない、通路内に障害物があるなどの問題が確認されて場合、指摘事項となります。
塀
建築基準法施行令 第61条と第62条の8では塀の構造と安全基準が定められています。
第61条 組積造のへい
組積造のへいは、次の各号に定めるところによらなければならない。
- 高さは、1.2m以下とすること。
- 各部分の壁の厚さは、その部分から壁頂までの垂直距離の1/10以上とすること。
- 長さ4m以下ごとに、壁面からその部分における壁の厚さの1.5倍以上突出した控壁(木造のものを除く。)を設けること。ただし、その部分における壁の厚さが前号の規定による壁の厚さの1.5倍以上ある場合においては、この限りでない。
- 基礎の根入れの深さは、20cm以上とすること。
第62条の8 塀 補強コンクリートブロック造の塀は、次の各号(高さ1.2m以下の塀にあつては、第五号及び第七号を除く。)に定めるところによらなければならない。ただし、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。
- 高さは、2.2m以下とすること。
- 壁の厚さは、15cm(高さ2m以下の塀にあつては、10cm)以上とすること。
- 壁頂及び基礎には横に、壁の端部及び隅角部には縦に、それぞれ径9mm以上の鉄筋を配置すること。
- 壁内には、径9mm以上の鉄筋を縦横に80cm以下の間隔で配置すること。
- 長さ3.4m以下ごとに、径9mm以上の鉄筋を配置した控壁で基礎の部分において壁面から高さの1/5以上突出したものを設けること。
- 第三号及び第四号の規定により配置する鉄筋の末端は、かぎ状に折り曲げて、縦筋にあつては壁頂及び基礎の横筋に、横筋にあつてはこれらの縦筋に、それぞれかぎ掛けして定着すること。ただし、縦筋をその径の40倍以上基礎に定着させる場合にあつては、縦筋の末端は、基礎の横筋にかぎ掛けしないことができる。
- 基礎の丈は、35cm以上とし、根入れの深さは30cm以上とすること。
以上の内容に適合して耐震対策がとられているかどうか、図面や目視、巻き尺による計測によって確認します。適法状態でない場合や、著しく破損していることが確認された場合、指摘事項となります。
擁壁等の状態
擁壁が著しく損傷したり、土砂が流出しているなどの問題が目視等によって確認された場合、指摘事項となります。また擁壁の状態には水抜きパイプが詰まりなどがなく正しく維持管理されているかも含まれます。