レポート

建築定期報告制度における未報告物件の現状

2016年12月05日

定期報告制度の報告率

平成22年の数値を元に国土交通省が定期報告制度の現状を調査した資料では、昇降機等の定期報告率が92.8%と非常に高い率となっている一方で、特定建築物調査(旧称:特殊建築物調査)の報告率は68.4%、建築設備検査の報告率も65.5%と、まだまだ不十分な数字となっていました。

圧倒的に低い「ホテル・旅館」の報告率

国土交通省が近年集計したデータによると、旅館又はホテルの特定建築物定期報告率が43.4%であるとし、全体の平均値である68.4%を大きく下回っていることが公開されています。注意点として平成22年度時点でのデータですから、現状は率の多少の増加があると思われますが、ホテルの火災などの悲惨な事故の過去があるにも関わらず、このような数値となることは大きな驚きです。2020年東京オリンピックや外国人観光客の増加が顕著な近年の流れを考えるならば、ホテル・旅館も含む、すべての建物所有者・管理者の定期報告に関する意識を高めていく必要があります。

建築定期報告制度における行政の実情

大都市の行政などは、建築指導関係の業務を一括で担当する一般財団法人による円滑な定期報告業務の運営を実現していますが、地方都市になると担当者が数名以下の場合もめずらしくありません。実際に国土交通省が公表するデータによりますと、特定行政庁の特定建築物調査担当者の全国平均は0.78人であるとし、行政自体の対応力の低さが数字となっています。

定期報告状況の建築物ごとの公表

定期報告の概要書は閲覧可能な書類となっていますが、行政によっては定期報告が必要な建築物の定期報告提出状況の一覧表PDFファイルをサイト上で公開している場合があります。近年の検索エンジンは公開されているPDFファイルも検知しますから、利用者等が建築物や店舗名等をネット検索した際に、未報告状態がはっきりわかるPDFファイルを閲覧すれば大きなマイナスイメージをもちますから、定期報告率上昇のための行政の取組の一環となっています。

官民一体での定期報告制度への取り組みの必要性

看過できない未報告率の数字の中には、一部には意図的に報告をしない・行政からの督促を無視するなどの悪質なケースも含まれている一方で、そもそも定期報告制度の周知がまだ十分とは言えない現状も含まれていると考えられます。ですから行政も、担当者数を含む対応力の増強を行い、定期報告制度の周知と建物所有者・管理者への通知ルールなどを強化する必要性があると考えられます。そして当然ながら「官」だけでなく「民」である建物所有者・管理者も、適切な定期報告の実施と、建築物の適法性と維持保全を怠らないようにする必要があります。

関連リンク

国土交通省 参考資料 1. 定期報告制度の実態[PDF]

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